いとをかしな日々 8

山形では 花も虫も生垣も草も食べる

秋になれば菊の花をがくからはずし 山ほどの花びらをちらし

稲刈りが終わった田んぼで稲子を追いかけ

夏が近づけば生垣のうこぎの新芽をトゲに気をつけながら摘み取り

夏になればあちこちに生えているひょうをゆがいたり干したり

どれも季節を感じる郷土の味

 

暑い日差しの中

こんなところによく生えてるな というところで ひょうをみつけた

よく見ると ちいさなちいさな黄色い花が咲いている

ひょうはスベリヒユとも雑草ともよばれている

摘みたてをさっとゆでると すこし酸味のあるツルっとしたお浸しになる

からし醤油でいただく

天日干しにして保存したものを 水戻し煮付け

お正月料理の縁起物としても食される

ひょっとしていいことがある なんともひかえめな縁起物

 

そういえば

イタリアのナポリよりもすこし南の小さな町で

誰も気にもとめないその縁起物に救われた

はじめての欧州でアクシデントに見舞われ

途方に暮れ涙したあとだった

ひょっとしていいことがあるかもしれない

砂糖をたっぷりいれた濃いエスプレッソをクピっと飲んだ

その道端で ひっそり生えているのをみつけた

 

 

 

残暑の日差しの中

足元に目をやると

ひょっとしてがそこら中に生えていて

地面を覆うようにグングンのびている

もはやひょっとしてどころではない

 

いとをかしな日々