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練る

本日のやつどき

葛練り珈琲 豆乳クリームがけ

 

近ごろの楽しみは葛練り

本葛粉でつくるおやつ

葛は秋の七草のひとつ

春の七草はそらでいえるが

秋の七草はどうも馴染みがない

ハスキーなおふくろ

秋の七草の頭文字を並べた覚え方もあるそうだが

 

本葛粉との出会いはある料理教室でのこと

旬の食材をふんだんにからだに優しい料理を生み出す

彼から滲み出ている人柄

流れるような所作

選び抜かれた道具に食材

そのどれもが心地よく

まるで舞台を観ているようだった

それまで安く速くたくさんできる料理がよしとしていたので

ゆっくり丁寧に食材と向き合う

芸術のような祈りのような料理の仕方もあるのだと

かるく眩暈するほど感動し胸が高鳴った

その美しく美味しい時間の中で本葛粉が登場した

どろっとぼんやりした味の具合が悪くなったときに飲むもの

葛に対しての印象はたいしたものではなかったし

とろみ付けにはじゃがいも澱粉の片栗粉を使うのが常だったので

からだを冷やさない本葛粉の使い方は目から鱗だった

そういえば、その帰り道、高揚感に包まれふわふわした足取りで高級食材のお店に寄り

小さな箱に入った本葛粉を買ったんだった

その頃、休日返上で仕事に励み真面目過ぎるくらいにお勤めしていたものだから

大事に持ち帰った小さな箱を開けた記憶はない

 

それからずぶん時は過ぎ

ある日のこと

頂きもののお菓子の虜になった

もちっとぷるっと なんだこれは

どうやったらこんな食感になるんだろう

材料に本葛粉が使われていた

 

それから葛練りの自由研究ははじまった

材料の配合、火の入れ具合、練り具合、冷やし方

理想のもちっとぷるっとにたどり着くにはまだまだ道半ばだけれど

空想の中の喫茶ミノムシのメニューに葛練りが加わる日もそう遠くなさそうだ

 

自由研究に失敗はつきもの

でも大丈夫

思う通りにできなかった葛練りは

冷凍庫に入れ凍らせて

暑い日の冷たいおやつとして楽しめる

 

いとをかしな日々